植栽の持つ力
新石手の家(H-House)に植栽工事が施されました。
本工事とは別に、施主様が依頼されていた工事なのですが、
設計者としての意見や要望を出しながら、見て欲しいとのことでしたので、
監修的立場で施工中も顔を出していました。
施工は、松山市生石町の大野造園さん。
私も最初は、植栽がこの住宅の考え方やデザイン性と喧嘩するのを恐れ、
お互いを引き立て合うようにと、色々と口を出していましたが、
大野さんと話す内に、庭の知識も経験も豊富で、建物のプランとこちらの意図を
汲み取って、自分のイメージを創り上げていく方だということがよくわかって
きましたので、安心してお任せすることができました。
先日は、大野さんが以前に手掛けられた別の住宅の庭を
一緒に観に行こうということで、道後と白水台で2件ほど
見せていただきましたが、どちらも素晴らしい空間になっていました。
専門化ならではの様々な植栽の手法やテクニックを教えて頂きました。
新石手の家では、道路に面したアプローチにシンボルとして、
姿の良い株立ちのヤマボウシを植えています。
before after
樹を植えた後では、家に潤いと奥行き感が出ていて、まったく印象が違います。
また、裏の庭には、文字通り坪庭として、完成された空間が出来上がりました。
内部から見る庭の姿や、夜間に見せる別の顔など、時間と共に移ろい行く
隅々まで検討されつくした坪庭空間を眺めていると、庭の主役は樹ではなく、
この家に暮らす人間が主人公なんだという事を改めて思い出します。
植栽の持つ力は大きいです。
外壁の補色である緑、葉が風でざわめく音、新緑や花の匂い、陽射しを受けて
地面に落とす影が揺らぐ様子は、人間の五感に訴えかけてきます。
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